炊飯器の電気代は1回いくら?5.5合10機種の公式値は4.3〜5.8円
炊飯器10機種の「1回あたりの電気代」くらべ
- 5.5合炊き10機種の公表値は1回4.31〜5.80円。毎日1回炊くと炊飯だけで年1,573〜2,116円
- 公表値は精米450g(3合)を出荷時コースで炊いた測定値。5.5合を満量炊いた電気代ではない
- 同じ機械でもコースを変えると増える。今回いちばん幅が大きかったのは32.5%増(パナソニックSR-C306E)
5.5合炊きの炊飯器でご飯を1回炊くと、電気代は4.31円から5.80円でした。大手6社10機種の公表値を、31円/kWhで換算した結果です。10機種の平均は5.08円。毎日1回炊くと、炊飯だけで年1,573〜2,116円になります。
計算はこれだけです。
1回の電気代 = 炊飯時消費電力量(Wh)÷ 1,000 × 31円
ただし、この4.31〜5.80円は、5.5合を満量炊いたときの数字ではありません。精米450g(3合)を、出荷時に設定されているコースで炊いたときの測定値です。理由は国のルールでそう決まっているからで、後で説明します。
こめきち「まず数字を見てください。そのあとで、この数字が何を測ったものかを話します」
5.5合炊き10機種の1回あたり
すべて最大炊飯容量1.0L(5.5合)の機種です。Whの値はメーカーが公表している「1回当たりの炊飯時消費電力量」で、精米450g(3合)を出荷時のコースで炊いたときの測定値です。金額は「Wh÷1,000×31円」で計算しています。
| 機種 | 加熱方式 | 公表値 | 1回 |
|---|---|---|---|
| 象印 NW-NB10 | 圧力IH | 139Wh | 4.31円 |
| 日立 RZ-W100JM | 圧力&スチームIH | 153Wh | 4.74円 |
| 日立 RZ-V100JM | 圧力&スチームIH | 155Wh | 4.80円 |
| パナソニック SR-X910E | 可変圧力IH | 157Wh | 4.87円 |
| 三菱電機 NJ-BW10J | IH | 161.9Wh | 5.02円 |
| 象印 NL-DB10 | マイコン | 164Wh | 5.08円 |
| パナソニック SR-N610E | 可変圧力IH | 169Wh | 5.24円 |
| 東芝 RC-10RXB | 真空IH | 176.3Wh | 5.47円 |
| 東芝 RC-10ZWA | 真空圧力IH | 178Wh | 5.52円 |
| タイガー JPV-Y100 | 圧力IH | 187Wh | 5.80円 |
上と下で1回1.49円ちがいます。毎日1年炊くと543円、1か月に直すと約45円の差です。5年使っても2,716円。炊飯器の本体価格を考えると、ここで機種を決める理由にはなりにくい幅でした。
なぜ「3合を炊いた数字」なのか
ジャー炊飯器の消費電力量の表示は、家庭用品品質表示法にもとづく「電気機械器具品質表示規程」で決まっています。省エネ法ではなく、こちらが表示のルールです。
この規程には、測るときの条件まで書いてあります。
- 周囲温度23±2℃、電源電圧100±1V、周波数50Hzまたは60Hz
- 炊く精米の量は、最大炊飯容量で決まる
炊く量の対応はこうです。
| 最大炊飯容量 | 炊く精米 | 何合か | 代表的な機種 |
|---|---|---|---|
| 0.54L以上0.99L未満 | 300g | 2合 | 3合炊き・3.5合炊き |
| 0.99L以上1.44L未満 | 450g | 3合 | 5.5合炊き |
| 1.44L以上 | 600g | 4合 | 1升炊き |
メーカーの注記もこれと一致します。日立は「1.0L(5.5合)炊きタイプは0.54L(3合)炊飯時、1.8L(1升)炊きタイプは0.72L(4合)炊飯時1回当たりの消費電力量」と書いていますし、象印も「(条件)10サイズ3カップ、18サイズ4カップ、室温:23℃±2℃」と注記しています。10サイズが5.5合炊き、18サイズが1升炊きです。
つまりメーカーが手加減しているのではなく、機種を比べられるように国が条件を揃えているだけです。
ただ、読む側は誤解します。この数字を「うちは毎回5.5合炊くから、1回4.7円かかっているんだな」と読むことはできません。各社とも「消費電力量は炊飯量やご使用のメニューによって異なります」と注記していますが、5.5合を満量炊くと何円になるかは、どのメーカーも公表していません。ここは分からないままです。
こめきち「カタログの数字は、機種を比べるための物差しです。自分の家の請求書を当てる数字ではありません」
容量帯で比べるときの落とし穴
容量帯ごとに並べると、こう見えます。
| 容量 | 機種数 | 1回の電気代 | 測定時に炊いた量 |
|---|---|---|---|
| 3合・3.5合 | 2 | 2.91〜3.72円 | 2合 |
| 5.5合 | 10 | 4.31〜5.80円 | 3合 |
| 1升 | 4 | 5.58〜7.47円 | 4合 |
「大きい炊飯器ほど電気を使う」と読みたくなりますが、右の列を見てください。容量帯ごとに、測定で炊いている米の量そのものが違います。炊飯器の大きさと、炊いた量が同時に変わっているので、この表だけでは大きさの影響を切り分けられません。
そこで、それぞれの公表値を測定時の合数で割って、1合あたりに直しました。
| 容量 | 1合あたり |
|---|---|
| 3合・3.5合 | 47.0〜60.0Wh(1.46〜1.86円) |
| 5.5合 | 46.3〜62.3Wh(1.44〜1.93円) |
| 1升 | 45.0〜60.2Wh(1.40〜1.87円) |
3つの帯がほとんど重なりました。今回の16機種を通しても45.0〜62.3Wh/合の範囲に収まっています。電気代を動かしているのは炊飯器の大きさではなく、炊いた米の量のほうでした。
これは実感とも合います。大きい炊飯器を買っても、2合しか炊かない日の電気代が跳ね上がるわけではありません。逆に、小さい炊飯器を買って2回に分けて炊けば、それは2回ぶんの電気代です。
同じ機械でも、コースを変えると増える
もう1つ、表の数字には条件があります。出荷時に設定されているコースでの値だということです。象印と日立は「エコ炊飯」、タイガーは「エコ炊き」、東芝も「エコ炊飯」が出荷時設定です。
今回調べた範囲では、出荷時の値と別コースの値を両方公開していたのは3社4機種でした。
| 機種 | 出荷時 | 別コース | 差 |
|---|---|---|---|
| パナソニック SR-C306E | 120Wh(エコ炊飯) | 159Wh(ふつう) | +32.5% |
| 日立 RZ-W100JM | 153Wh(エコ炊飯) | 181Wh(極上もちもち) | +18.3% |
| 東芝 RC-10ZWA | 178Wh(エコ炊飯) | 200.9Wh(匠炊き ふつう) | +12.9% |
| 東芝 RC-10RXB | 176.3Wh(エコ炊飯) | 180.5Wh(匠炊き ふつう) | +2.4% |
パナソニックのSR-C306Eは、「ふつう」で炊くと3割増えます。毎日その設定なら年441円。日立の機種は年317円です。
機種を替えたときの差が年543円でしたから、コースを変えたときの増えぶんは、それに近い規模ということになります。同じ機械のなかで起きる差なので、こちらのほうが自分でどうにかできる幅です。
ただし「省エネコース以外は全部高い」という話でもありません。日立の場合、公表されているのは出荷時(エコ炊飯153Wh)と最大(極上もちもち181Wh)の2つだけで、そのあいだのコースがどうなるかは仕様表からは分かりません。カタログの数字は、出荷時のコースで測った標準の値とだけ理解しておくのが正確です。
加熱方式の名前では判断できない
「IHよりマイコンのほうが電気代が安い」という説明をよく見ます。今回の5.5合10機種では、そうなりませんでした。
- 象印のマイコン NL-DB10:164Wh(5.08円)
- 象印の圧力IH NW-NB10:139Wh(4.31円)
同じメーカーの同じ5.5合で、マイコンのほうが1回25Wh多く使っています。10機種を安い順に並べると、マイコンは6番目でした。
なぜそうなるのかは、今回集めたデータからは言えません。炊飯にかかる時間を機種ごとに比べていないからです。ここで言えるのは1つだけです。「マイコンだから」「IHだから」で電気代を判断せず、公表されているWhの数字を直接見てください。
炊飯時消費電力(W)の数字と混同しないよう気をつけてください。NL-DB10の炊飯時消費電力は660W、NW-NB10は1240Wで、Wだけ見るとマイコンが半分です。それでも1回に使う電力量(Wh)はマイコンのほうが多い。瞬間の大きさと、合計の使用量は別ものです。
年間消費電力量の中身は、炊飯6割・保温3割
仕様表にはもう1つ「年間消費電力量」という数字があります。これは炊飯だけの数字ではありません。品質表示規程には計算式まで書かれていて、5.5合炊き(0.99L以上1.44L未満)の場合、国はこう想定しています。
- 年間の炊飯回数:340回
- 年間の保温時間:1,540時間
- 年間のタイマー予約時間:1,190時間
- 年間の待機時間:2,990時間
340回炊いて1,540時間保温、ということは1回炊くごとに平均4.5時間保温しているという想定です。1日あたりだと4.2時間。
炊飯・保温・予約・待機の4つを全部公表していたのはパナソニックだけだったので、その2機種で式に入れて計算してみました。
| 機種 | 炊飯 | 保温 | 予約 | 待機 | 合計 | 公表値 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| SR-X910E | 53.4 | 27.6 | 1.4 | 2.9 | 85.3 | 85.3kWh |
| SR-N610E | 57.5 | 25.6 | 1.0 | 2.5 | 86.5 | 86.6kWh |
公表値とほぼ一致しました。割合にすると、炊飯63〜66%、保温30〜32%、予約1〜2%、待機3%です。
年間の電気代のうち3割が保温だということになります。しかもこれは「1回につき4.5時間」という算定条件での話で、炊いたまま朝まで保温している家なら割合はもっと上がります。保温が1時間いくらかは、別の記事で16機種ぶん並べました。
電気代で炊飯器を選ぶ優先度は低い
今回の10機種では、年543円差でした。5年で2,716円です。少なくともこの範囲では、電気代だけを理由に機種を絞る効果は小さいといえます。
電気代を下げたいなら、機種選びより次の2つのほうが効きます。
1. 炊飯コースを出荷時のまま使う(今回の範囲で年48〜441円ぶん)
2. 保温を長く続けない(年間消費電力量の3割は保温です)
炊飯器はおいしさ・容量・お手入れで決めていいと思います。今日から電気代を減らしたいなら、炊飯器を買い替えるより、この2つを見直すほうが早いです。
この記事が向かないのは、5.5合を満量炊いたときの実測電気代を知りたい人です。その数字はどのメーカーも公表しておらず、今回の調べ方では出せませんでした。
→ 炊飯器の保温は1時間いくら?16機種の公式値は0.32〜0.75円
金額はこの記事のための計算で、メーカーの公表値ではありません。実際の電気代は炊く量・コース・室温・契約している電気料金で変わります。
調査・編集:炊飯図鑑編集部。こめきちは記事の案内役のキャラクターです(実在の人物ではありません)。
この記事の調べ方と、分からないこと
数字は2026年8月3日に、各メーカーの公式仕様ページから集めました。象印・タイガー・パナソニック・日立・東芝・三菱電機の6社16機種(5.5合10機種、3合・3.5合2機種、1升4機種)です。実機を買って測ったものではなく、メーカーが公表している値を集めて換算したものです。各社の現行ラインアップに掲載されている機種で揃えました。
金額の換算に使った31円/kWhは、全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価です。円への換算、平均、差額、1合あたりの値、年間消費電力量の内訳は、集めた数値をPythonで再計算して検算しています。
数字の意味も書いておきます。「1回当たりの炊飯時消費電力量」「1時間当たりの保温時消費電力量」「年間消費電力量」は、家庭用品品質表示法にもとづく電気機械器具品質表示規程で表示が義務づけられている項目で、測定方法も同じ規程で決まっています。区分名は加熱方式と最大炊飯容量で決まり、電磁誘導加熱(IH)はA〜D、それ以外(マイコンなど)はE〜Hです。今回の5.5合機はIHが区分B、象印NL-DB10はマイコンなので区分Fでした。
限界も書いておきます。今回は各社の主力機を中心に選んでおり、売れている順の網羅ではありません。アイリスオーヤマなど一部メーカーは公式ページを機械で読み取れず、今回は入っていません。三菱電機のNJ-BW10Jは仕様表に年間消費電力量の記載が見つからなかったので、年間の比較からは外しています。実売価格は集めていません。そして最初に書いたとおり、5.5合を満量炊いたときの消費電力量はどのメーカーも公表していないので、この記事では扱えていません。