炊飯器の保温は1時間いくら?16機種の公式値は0.32〜0.75円
炊飯器16機種の保温電気代
- 5.5合10機種の保温は1時間0.40〜0.55円、単純平均は約0.50円。全16機種では0.32〜0.75円
- 公表値は「炊飯後12時間の消費電力量を12で割った平均」。毎時間おなじ電力を使うという意味ではない
- 12時間保温を単純換算すると195Wh。10機種中8機種で、1回の炊飯より大きくなった
炊飯器の保温は、1時間いくらかかるのか。メーカー公式の仕様値を16機種ぶん集めて、31円/kWhで換算しました。
結果は1時間0.32〜0.75円。いちばん多い5.5合炊きの10機種に絞ると0.40〜0.55円で、単純平均は約0.50円でした。
ただし、この「1時間当たり」という数字の正体が、思っているものと少し違いました。
まんぷく「1時間ごとに同じ電力を使う、という意味の数字ではありませんでした」
16機種の保温1時間
炊飯器の仕様表には「1時間当たりの保温時消費電力量」という項目がどの機種にも載っています。表示が義務づけられているからです。
| 機種 | 容量 | 保温1時間 |
|---|---|---|
| 象印 NL-BX05 | 3合 | 0.32円 |
| 東芝 RC-10ZWA | 5.5合 | 0.40円 |
| 東芝 RC-10RXB | 5.5合 | 0.43円 |
| パナソニック SR-C306E | 3.5合 | 0.49円 |
| 日立 RZ-V100JM | 5.5合 | 0.51円 |
| 日立 RZ-W100JM | 5.5合 | 0.51円 |
| 象印 NL-DB10 | 5.5合 | 0.51円 |
| パナソニック SR-N610E | 5.5合 | 0.51円 |
| 象印 NW-NB10 | 5.5合 | 0.52円 |
| 三菱電機 NJ-BW10J | 5.5合 | 0.54円 |
| タイガー JPV-Y100 | 5.5合 | 0.54円 |
| パナソニック SR-X910E | 5.5合 | 0.55円 |
| 東芝 RC-18RXB | 1升 | 0.58円 |
| 象印 NL-DB18 | 1升 | 0.67円 |
| 象印 NW-NB18 | 1升 | 0.68円 |
| タイガー JPV-Y180 | 1升 | 0.75円 |
5.5合クラスは0.40〜0.55円のあいだに10機種が固まりました。上位2つは東芝です。東芝は真空保温について、酸化や黄ばみ、水分の蒸発を抑えると説明していますが、保温時消費電力量が小さい理由まではメーカー資料からは確認できませんでした。
容量が大きいほど数字も大きくなっています。1升炊きは0.58〜0.75円で、5.5合より1〜2割ほど多い。釜も庫内も大きいぶん、温め続けるのに使う電力が増える方向でした。
この数字は「12時間の平均」です
ここが今回いちばん大事なところです。
「1時間当たりの保温時消費電力量」の測り方は、家庭用品品質表示法にもとづく電気機械器具品質表示規程で決まっています。原文はこうです。
> 一回当たりの炊飯時消費電力量の測定終了後、直ちに保温を開始することとする。
> 保温開始から十二時間経過するまでの消費電力量を測定し、その測定値を十二で除した数値とする。
つまり公表値は、炊飯後12時間ぶんの消費電力量を12で割った平均です。保温の1時間目と12時間目で同じ電力を使っている、という意味ではありません。
炊飯直後は釜もご飯も熱いので、保温に必要な電力は少ないはずです。冷めてくるほど温め直す電力が要る。だとすれば、平均の0.50円は「後半ほど高く、前半は安い」ならしの数字ということになります。
この記事の金額も、その平均を各時間に一定でかけた単純換算です。実測ではありません。
12時間で年2,206円。1回の炊飯より大きい
規程が測っている12時間ぶんまでで金額を出します。5.5合10機種の平均(16.25Wh/時)で計算しました。
| 保温時間 | 1回 | 毎日続けた1年 |
|---|---|---|
| 1時間 | 0.50円 | 184円 |
| 2時間 | 1.01円 | 368円 |
| 4時間 | 2.02円 | 735円 |
| 6時間 | 3.02円 | 1,103円 |
| 8時間 | 4.03円 | 1,471円 |
| 12時間 | 6.04円 | 2,206円 |
12時間の保温は195Whです。同じ10機種の1回の炊飯は139〜187Wh、平均164Wh。12時間保温したほうが、その日1回炊いたぶんより多く電気を使うことになります。
機種ごとに見ると、こうでした。
| 機種数 | 例 | |
|---|---|---|
| 12時間保温 > 1回の炊飯 | 8機種 | 象印 NW-NB10(保温200.4Wh/炊飯139Wh) |
| 12時間保温 < 1回の炊飯 | 2機種 | 東芝 RC-10ZWA(保温156Wh/炊飯178Wh) |
10機種中8機種で保温が上回りました。逆転したのは東芝の2機種で、どちらも保温の値が小さく(13.0Wh・13.9Wh)、炊飯の値が大きい(178Wh・176.3Wh)組み合わせです。
「炊飯器の電気代」と聞くと炊く電気を想像しますが、夜のあいだ保温している家では保温のほうが大きい、という機種が多数派でした。
まんぷく「炊いた電気より、置いておく電気のほうが多い日があります」
年間の数字では、保温は炊飯の45%
仕様表の「年間消費電力量」も、内訳が規程で決まっています。5.5合炊き(最大炊飯容量0.99L以上1.44L未満)の算定条件はこうです。
- 年間の炊飯回数:340回
- 年間の保温時間:1,540時間
- 年間のタイマー予約時間:1,190時間
- 年間の待機時間:2,990時間
これは推奨でも実態調査でもなく、年間消費電力量を計算するための標準条件です。1日あたりに直すと保温4.2時間、炊飯はほぼ1日1回にあたります。
この条件で今回の10機種を計算すると、保温は年621〜855円(平均776円)、炊飯は平均1,729円でした。保温は炊飯の45%です。
逆にいうと、この条件より長く保温している家では、その比率は上がります。1日4.2時間ではなく12時間なら、保温だけで年2,206円の単純換算になります。
保温できる時間は機種ごとに違う
保温を何時間まで使えるかは、メーカーが仕様に書いています。
- 象印 NW-NB10:極め保温40時間
- 日立 RZ-W100JM:スチーム保温40時間(保温低の設定時)
- 三菱電機 NJ-BW10J:低めの温度で保温し、12時間を過ぎると自動的に温度を上げて40時間まで保温
- タイガー JPV-Y100:24時間保温・12時間保温・おひつ保温を切り替え
12時間・24時間・40時間という数字が並びますが、これは保温機能やモードの区切りであって、電気代の分かれ目ではありません。三菱の機種のように12時間で温度制御が変わる例もあるので、12時間を超えた先の消費電力量が同じ調子で続くとは限りません。規程の測定も12時間までなので、この記事でも12時間より先の金額は出していません。
長時間の保温を使うなら、対応時間と対象メニューを取扱説明書で確認してください。
冷凍してレンジで温め直すほうが安いのか
ここが多くの人の知りたいところだと思います。今回は答えを出せませんでした。理由を書いておきます。
電子レンジのカタログに載っているのは「レンジ機能の年間消費電力量」で、1回いくらという数字はありません。今回調べた単機能レンジ4機種(パナソニック NE-FL100・NE-FL221、シャープ RE-TS3・RE-TS171)は59.9〜60.1kWh/年で、差はほとんどありませんでした。
この年間値から1回あたりを割り出そうとしましたが、2つの壁がありました。
1つ目。年間値の計算式にかかっている数字(580.8・66・571.1・205)は、使った回数そのものではありません。冷凍食品や解凍に使う加熱の重みが混ざっています。単純に足して回数として割ると、実態とずれます。
2つ目。試験で温めているのはご飯ではなく水です。規程の原文には「疑似負荷は、水とし」とあり、実容器を使って4℃から70℃まで加熱したときの消費電力量を測ると書かれています。冷凍ご飯は−18℃前後から始まり、凍った水を溶かす熱も要ります。同じ量の水を4℃から温めるより多くかかるはずですが、いくら多いかは公表値からは分かりません。
つまり「冷凍ご飯1膳のレンジ代は◯円」という数字は、メーカーの公表値だけでは作れませんでした。作れない以上、「保温は◯時間で冷凍に負ける」という分岐時間も出せません。ここは実測しないと答えが出ない領域です。
言えるのは、保温の側の金額だけです。保温を1時間続けるのは約0.50円、12時間なら約6.04円。この金額を見て、長すぎると思うかどうかという話になります。
電気代を見直すなら、まず保温時間から
今回の数字から言えることを整理します。
1. 保温1時間は約0.50円(5.5合10機種の平均)。数時間なら数円の世界です
2. 12時間続けると195Whで、10機種中8機種は1回の炊飯より大きくなります
3. 毎晩そのまま保温しているなら、単純換算で年2,206円ぶんの習慣です
炊飯器を買い替えるより、保温時間を見直すほうが先に効きます。冷凍に切り替えた場合に実際いくら浮くかは、レンジと冷凍庫の電気代を差し引いた額になるので、この記事の2,206円がそのまま節約額になるわけではありません。
この記事が向かないのは、冷凍レンチンとの正確な損益分岐を知りたい人です。上に書いたとおり、メーカーの公表値からは出せませんでした。
→ 炊飯器の電気代は1回いくら?5.5合10機種の公式値は4.3〜5.8円
→ 炊飯器の内釜の保証は何年?11機種で1年から6年まで開いていた
金額はこの記事のための計算で、メーカーの公表値ではありません。実際の電気代は保温量・保温モード・室温・契約している電気料金で変わります。
調査・編集:炊飯図鑑編集部。まんぷくは記事の案内役のキャラクターです(実在の人物ではありません)。
この記事の調べ方と、分からないこと
数字は2026年8月3日に集めました。炊飯器は象印・タイガー・パナソニック・日立・東芝・三菱電機の6社16機種、電子レンジはパナソニック・シャープの単機能レンジ4機種で、いずれもメーカー公式の仕様ページに載っている値です。実機を買って測ったものではありません。
金額の換算に使った31円/kWhは、全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価です。時間別の金額・年間額・機種別の比較は、集めた数値をPythonで再計算して検算しています。
測定方法の引用は、家庭用品品質表示法にもとづく電気機械器具品質表示規程(消費者庁)の本文からです。保温時消費電力量の測り方(12時間の平均)、年間消費電力量の算定条件(炊飯340回・保温1,540時間・予約1,190時間・待機2,990時間)、電子レンジの疑似負荷が水であることと4℃から70℃まで加熱する条件は、いずれも同規程に書かれています。
分からなかったことを書いておきます。第一に、冷凍ご飯を温め直す電気代は、公表値からは算出できませんでした(本文に書いたとおりです)。したがって保温と冷凍の損益分岐も出していません。第二に、保温の1時間目と12時間目でそれぞれいくらかかるかは公表されておらず、この記事の時間別の金額は12時間平均を一定とみなした単純換算です。第三に、12時間を超えた先の消費電力量は規程の測定範囲外なので扱っていません。第四に、釜に入っているご飯の量で保温の消費電力量がどう変わるかも、公表仕様からは判断できませんでした。第五に、保温したご飯と温め直したご飯の味の違いは、この記事では扱っていません。