3合炊きの炊飯器8機種くらべ|電気代も重さもマイコンとIHで二分した
3合・3.5合クラス8機種の実寸と電気代くらべ
- 小容量クラスの現行8機種は、加熱方式で数値が二分した。マイコン4機種は炊飯89.4〜94.5Wh・2.2〜3.1kg、IH系4機種は111〜120Wh・4.0〜5.0kg。重なりはゼロ
- 1回の電気代の差は最大0.95円。毎日炊いても年346円で、機種を決める理由にはなりにくい
- 閉じた高さは18.9〜20.7cmでほぼ横並びでも、ふたを開けた高さは36.5〜43.1cm。棚に入れるならここが分かれ目
3合クラスの炊飯器を買うと決めたあと、次に迷うのは「そのなかのどれか」だと思います。
現行の8機種を公式仕様で並べたら、加熱方式のところで数値がきれいに二つに割れました。マイコン4機種とIH系4機種のあいだに、重なりがひとつもありません。
こつぶ「小さい炊飯器どうしの比較なので、差は小さいだろうと思って集めました。実際は、思っていたよりはっきり分かれていました」
8機種の一覧
象印・パナソニック・タイガーの現行機で、最大炊飯容量0.54L(3合)または0.63L(3.5合)のものを集めました。Whの値はメーカーが公表している「1回当たりの炊飯時消費電力量」で、金額は「Wh÷1,000×31円」で計算しています。
| 機種 | 容量 | 加熱方式 | 炊飯時 | 1回 |
|---|---|---|---|---|
| タイガー JBS-G055 | 3合 | 釜包みヒーター(マイコン) | 89.4Wh | 2.77円 |
| 象印 NL-BB05 | 3合 | マイコン | 93.7Wh | 2.90円 |
| 象印 NL-BX05 | 3合 | マイコン | 93.9Wh | 2.91円 |
| タイガー JAI-R552 | 3合 | 側面+底ヒーター(マイコン) | 94.5Wh | 2.93円 |
| 象印 NP-RN05 | 3合 | 圧力IH | 111Wh | 3.44円 |
| タイガー JPD-G060 | 3.5合 | 可変W圧力IH | 115Wh | 3.56円 |
| パナソニック SR-KT060 | 3.5合 | 2段IH | 117Wh | 3.63円 |
| パナソニック SR-C306E | 3.5合 | 可変圧力IH | 120Wh | 3.72円 |
上から4つがマイコン、下から4つがIH系です。89.4〜94.5Whと111〜120Whのあいだに16.5Whの空白があって、どちらの群にも属さない機種がありませんでした。
ただし、この差を電気代として受け取るときは冷静に見てください。いちばん上といちばん下で1回0.95円。毎日1回炊いても年346円です。5年で1,730円ですから、本体価格の差のほうがずっと大きい範囲です。
8機種とも「2合を炊いた数字」で並んでいます
表の数字が同じ土俵に乗っている理由を書いておきます。
ジャー炊飯器の消費電力量の表示は、家庭用品品質表示法にもとづく「電気機械器具品質表示規程」で決まっています。測るときに炊く米の量は、最大炊飯容量で決まります。
| 最大炊飯容量 | 炊く精米 | 何合か |
|---|---|---|
| 0.54L以上0.99L未満 | 300g | 2合 |
| 0.99L以上1.44L未満 | 450g | 3合 |
| 1.44L以上 | 600g | 4合 |
今回の8機種は、3合(0.54L)も3.5合(0.63L)も全部いちばん上の帯に入ります。つまり8機種とも精米300g(2合)を炊いた測定値で、そのまま横に並べられます。
5.5合機の記事では、容量帯をまたぐと測定時に炊いた米の量そのものが変わってしまうため、比較に注意が必要でした。今回はその心配がありません。3合機と3.5合機を同じ表に入れているのは、規程の区分が同じだからです。
逆に言うと、この2.77〜3.72円は「3合を満量炊いたときの電気代」ではありません。各社とも炊飯量やメニューで変わると注記していて、満量時の値はどのメーカーも公表していませんでした。
重さも同じところで割れました
置き場所を動かすときや、内釜を洗うために本体を持ち上げるときに効くので、質量も並べました。
| 機種 | 加熱方式 | 質量 |
|---|---|---|
| タイガー JAI-R552 | マイコン | 2.2kg |
| 象印 NL-BB05 | マイコン | 2.7kg |
| タイガー JBS-G055 | マイコン | 2.7kg |
| 象印 NL-BX05 | マイコン | 3.1kg |
| 象印 NP-RN05 | 圧力IH | 4.0kg |
| パナソニック SR-KT060 | 2段IH | 4.2kg |
| パナソニック SR-C306E | 可変圧力IH | 4.7kg |
| タイガー JPD-G060 | 可変W圧力IH | 5.0kg |
電気代の順番とほぼ同じ並びになりました。マイコン4機種が2.2〜3.1kg、IH系4機種が4.0〜5.0kg。いちばん軽いJAI-R552といちばん重いJPD-G060では2.8kg、2倍以上ちがいます。
IHは内釜そのものを発熱させる仕組みで、コイルや圧力の機構が入ります。マイコンは底と側面のヒーターだけです。消費電力量と質量が同じところで割れているのは、中身の作りがそのまま出ているからと考えるのが自然だと思います。
設置面積はタイガー勢が小さい
幅×奥行で設置面積を計算しました。
| 機種 | 幅×奥行 | 設置面積 | 高さ |
|---|---|---|---|
| タイガー JAI-R552 | 22.4×28.3cm | 634cm² | 18.9cm |
| タイガー JBS-G055 | 24.7×27.8cm | 687cm² | 19.2cm |
| タイガー JPD-G060 | 22.7×30.5cm | 692cm² | 19.4cm |
| 象印 NP-RN05 | 23.0×32.0cm | 736cm² | 19.5cm |
| 象印 NL-BB05 | 23.5×32.5cm | 764cm² | 19.5cm |
| 象印 NL-BX05 | 23.5×32.5cm | 764cm² | 19.5cm |
| パナソニック SR-KT060 | 25.1×30.8cm | 773cm² | 20.2cm |
| パナソニック SR-C306E | 24.6×31.7cm | 780cm² | 20.7cm |
634〜780cm²で、いちばん小さいものといちばん大きいもので146cm²の差。A4の紙が約620cm²ですから、8機種ともA4より少し大きいくらいの面積に収まっています。
面白いのは、ここでは加熱方式の並びが崩れることです。IH系のJPD-G060(692cm²)は、マイコンの象印2機種(764cm²)より小さい。電気代と重さは方式で決まりましたが、設置面積はメーカーごとの設計で決まっていました。
高さも18.9〜20.7cmの範囲に収まっていて、1.8cmしか違いません。ここまでだと、どれを選んでも置き場所の話はあまり変わらないように見えます。
ふたを開けると6.6cm開きます
ところが、ふたを開けたときの高さを見ると話が変わります。
| 機種 | 閉じた高さ | ふた開き時 | 差 |
|---|---|---|---|
| 象印 NL-BB05 | 19.5cm | 36.5cm | +17.0cm |
| 象印 NL-BX05 | 19.5cm | 36.5cm | +17.0cm |
| 象印 NP-RN05 | 19.5cm | 36.5cm | +17.0cm |
| タイガー JBS-G055 | 19.2cm | 38.5cm | +19.3cm |
| タイガー JPD-G060 | 19.4cm | 42.6cm | +23.2cm |
| パナソニック SR-KT060 | 20.2cm | 43.0cm | +22.8cm |
| パナソニック SR-C306E | 20.7cm | 43.1cm | +22.4cm |
閉じた状態では1.8cmしか違わなかったのに、開けると36.5〜43.1cmで6.6cmの差がつきました。象印の3機種が36.5cmで揃っていて、パナソニックの2機種が43cm台です。
炊飯器を食器棚のスライド棚や吊り戸棚の下に置くなら、効くのはこちらの数字です。棚板までの高さが40cmなら、象印の36.5cmとタイガーJBS-G055の38.5cmは入りますが、パナソニックの2機種は入りません。閉じた高さの20.7cmだけ見て決めると、買ってから開かない、ということが起こります。
こつぶ「炊飯器はふたを開けて使う道具です。仕様表の高さは、閉じたときの数字のほうだと思ってください」
なお、タイガーJAI-R552はふたを開けたときの高さが仕様に載っていませんでした。この1機種だけ、比べられていません。
保温は1時間0.29〜0.50円
保温時消費電力量も公表されています。
| 機種 | 保温1時間 | 電気代 |
|---|---|---|
| 象印 NL-BB05 | 9.37Wh | 0.29円 |
| 象印 NL-BX05 | 10.3Wh | 0.32円 |
| 象印 NP-RN05 | 12.5Wh | 0.39円 |
| タイガー JBS-G055 | 12.7Wh | 0.39円 |
| パナソニック SR-KT060 | 13.9Wh | 0.43円 |
| タイガー JAI-R552 | 14.0Wh | 0.43円 |
| パナソニック SR-C306E | 15.9Wh | 0.49円 |
| タイガー JPD-G060 | 16.0Wh | 0.50円 |
ここでは方式の二分が崩れます。マイコンのJAI-R552(14.0Wh)は、IHのNP-RN05(12.5Wh)より多い。保温はヒーターで温度を保つ工程なので、断熱のしかたや内釜の厚みのほうが効いているのだと思われますが、そこまでは今回集めた数値からは言えません。
保温の差のほうが、炊飯の差より生活に響く場面はあります。1日6時間保温する家なら、いちばん少ない機種といちばん多い機種で1日1.23円、年450円。炊飯の差(年346円)より大きくなります。
どう選ぶか
今回の数値から言えることを3つにまとめます。
1. 電気代で機種は決まりません。8機種の幅は1回0.95円、年346円です。本体価格の差のほうが大きく、ここを最優先にする理由は見当たりませんでした
2. 軽さがほしいならマイコン。2.2〜3.1kgと4.0〜5.0kgで、重なりがありません。加熱方式の欄を見れば質量はだいたい予想がつきます
3. 棚に入れるならふた開き時の高さ。閉じた高さは全機種ほぼ同じで、開けたときに36.5〜43.1cmへ散らばります
置き場所の制約が先にある人は、設置面積とふた開き時の高さの2つの表から候補を絞って、そのあとで加熱方式を選ぶ順番が合理的だと思います。逆に置き場所に余裕があるなら、この記事の数値では機種を絞りきれません。炊き上がりやメニューで選ぶことになります。
この記事が向かないのは、炊き上がりの味やごはんの食感で機種を決めたい人です。今回扱ったのは公式仕様に載っている数値だけで、味については何も調べていません。
→ 一人暮らしに3合炊きは必要?5.5合の炊飯器も0.5合から炊けた
→ 炊飯器の電気代は1回いくら?5.5合10機種の公式値は4.3〜5.8円
金額はこの記事のための計算で、メーカーの公表値ではありません。実際の電気代は炊く量・コース・室温・契約している電気料金で変わります。
調査・編集:炊飯図鑑編集部。こつぶは記事の案内役のキャラクターです(実在の人物ではありません)。
この記事の調べ方と、分からないこと
2026年8月3日に、象印・パナソニック・タイガーの公式仕様ページから8機種ぶんの数値を集めました。最大炊飯容量が0.54L(3合)または0.63L(3.5合)で、各社の現行ラインアップに掲載されている機種で揃えています。実機を買って測ったものではなく、メーカーが公表している値です。
金額の換算に使った31円/kWhは、全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価です。円への換算、年額、設置面積(公表されている幅×奥行)、ふた開き時と閉じたときの差、群ごとの最小・最大は、集めた数値をPythonで再計算して検算しています。
数字の意味も書いておきます。「1回当たりの炊飯時消費電力量」「1時間当たりの保温時消費電力量」は、家庭用品品質表示法にもとづく電気機械器具品質表示規程で表示が義務づけられている項目で、測定条件(周囲温度23±2℃、電源電圧100±1V)と炊く精米の量も同じ規程で決まっています。最大炊飯容量0.54L以上0.99L未満は精米300g(2合)で、今回の8機種はすべてこの区分です。パナソニックSR-C306Eは出荷時のエコ炊飯で120Wh、ふつうで159Whと2つ公表されており、表には出荷時の120Whを載せました。
分からなかったことを書いておきます。第一に、タイガーJAI-R552はふたを開けたときの高さが仕様ページに見当たらず、この項目だけ8機種そろっていません。第二に、実売価格は集めていません。第三に、3合や3.5合を満量炊いたときの消費電力量は、どのメーカーも公表していません。第四に、アイリスオーヤマと三菱電機の小容量機は、公式ページを機械で読み取れなかったか現行ラインアップに見当たらなかったため、今回は入っていません。第五に、保温の数値が加熱方式と対応しなかった理由(断熱や内釜の厚みの影響)は、公表値からは説明できませんでした。第六に、蒸気を逃がすために背面・上方へ空けるすきまは設置面積に含めていないので、実際の置き場所は各社の設置条件を確認してください。