炊飯器の消費電力は495〜1450W。レンジと同時に使うと落ちる?
炊飯器15機種の「消費電力(W)」くらべ
- 大手6社15機種の炊飯時消費電力は495〜1450W。5.5合のIH機はすべて1100W以上
- 一般的な分岐回路は20A・2000Wが目安(パナソニック/東京電力パワーグリッドの公式説明)。1450Wの炊飯器と1420Wの電子レンジを足すと2870Wで、この目安を超える
- ただし炊飯器とレンジが同じ回路につながっているかは家庭ごとに違い、公式情報からは判定できない
大手6社15機種の炊飯時消費電力は495Wから1450Wでした。3合のマイコン機がいちばん低く、5.5合の真空圧力IH機がいちばん高い。5.5合のIH機は、調べた範囲ではすべて1100W以上です。
一方で、パナソニックと東京電力パワーグリッドの公式説明によると、一般家庭の分岐回路(部屋やコンセントごとに分かれた回路)は20A、100Vで2000Wが目安とされています。
1450Wの炊飯器と、1420Wの電子レンジ。足すと2870Wです。この2台が同じ回路につながっていれば、目安を超えます。
まんぷく「たぬきの腹より、回路のほうが先に限界がくるんだよ」
15機種の消費電力(W)
各社の公式仕様ページから、炊飯時の消費電力(W)を集めました。項目名は各社で少しずつ違います(後述)。
| 機種 | 加熱方式 | 容量 | 消費電力 |
|---|---|---|---|
| 象印 NL-BX05 | マイコン | 3合 | 495W |
| 象印 NL-DB10 | マイコン | 5.5合 | 660W |
| パナソニック SR-C306E | 可変圧力IH | 3.5合 | 700W |
| 象印 NL-DB18 | マイコン | 1升 | 900W |
| タイガー JPV-Y100 | 圧力IH | 5.5合 | 1100W |
| パナソニック SR-N610E | 可変圧力IH | 5.5合 | 1200W |
| パナソニック SR-X910E | 可変圧力IH | 5.5合 | 1210W |
| タイガー JPV-Y180 | 圧力IH | 1升 | 1210W |
| 象印 NW-NB10 | 圧力IH | 5.5合 | 1240W |
| 象印 NW-NB18 | 圧力IH | 1升 | 1370W |
| 三菱電機 NJ-BW10J | IH | 5.5合 | 1400W |
| 日立 RZ-W100JM | 圧力&スチームIH | 5.5合 | 1400W |
| 日立 RZ-V100JM | 圧力&スチームIH | 5.5合 | 1400W |
| 東芝 RC-10RXB | 真空IH | 5.5合 | 1420W |
| 東芝 RC-10ZWA | 真空圧力IH | 5.5合 | 1450W |
きれいに分かれました。マイコン機(IH以外)は495〜900W、IH機は700〜1450Wです。3.5合のパナソニックSR-C306Eを除くと、IH機はすべて1100W以上でした。
容量で見ると、5.5合のIH機が1100〜1450W、1升のIH機が1210〜1370W。1升だから大きいというわけでもありません。
Wと、電気代のWhは別もの
ここで混同しやすいところを整理します。
- W(ワット)は、そのとき同時に流れている電気の大きさ。ブレーカーが見ているのはこちら
- Wh(ワットアワー)は、1回炊くあいだに使った電気の合計。電気代の計算に使うのはこちら
別の記事で1回あたりの電気代を調べたとき、象印のマイコン機NL-DB10(164Wh)のほうが、同じ象印の圧力IH機NW-NB10(139Wh)より多く電気を使っていました。ところがWで見ると、マイコン機660W、圧力IH機1240Wで、逆にIH機のほうが倍近く大きい。
矛盾ではありません。IH機は大きな火力で短時間に炊き上げ、マイコン機は小さな火力で長く炊く。瞬間の大きさが小さくても、時間が長ければ合計は増えます。
ブレーカーの話をしているときはW、電気代の話をしているときはWh。仕様表では隣り合って並んでいることが多いので、単位を見てください。
分岐回路の20Aと2000W
ここからは炊飯器の話ではなく、家の配線の話です。分電盤メーカーと電力会社の公式説明にあることだけを書きます。
パナソニックの「知っておきたい電気の基礎知識」には、分岐ブレーカーについてこう書かれています。分電盤から各部屋あるいはコンセントに電気を運ぶ回路(分岐回路)に容量以上の電気が流れたときに、その回路のみを遮断する装置で、一般的には20Aである、と。そのうえで、電流(A)×電圧(V)=電力(W)の式から、一つの回路で合計2000Wまで、一つのコンセントでは15A・合計1500Wまでという数字を示しています。
東京電力パワーグリッドの解説記事でも、1つの安全ブレーカーに流せる電気は20A(2000W)と書かれています。ブレーカーが落ちる原因として、契約アンペア数の超過、漏電、ショートや一部での過剰使用の3つを挙げています。
パナソニックの電気設備の基礎知識のページには、なぜ落ちるのかも書かれています。2000Wを超えると配線の許容電流値20Aを超えるため、分岐ブレーカーがOFFになり配線を保護する。それを超えて電気が流れると電線に発熱が起こり、損傷する恐れがある、という説明です。安全装置が仕事をしている、ということになります。
もう一段上には主幹ブレーカーがあります。各分岐ブレーカーの容量内におさまっていても、消費電力の合計が主幹ブレーカーの容量を上回れば、家庭内のすべての電気が遮断されます。「キッチンのブレーカーだけ落ちた」のと「家じゅう真っ暗になった」のは、別の層の話です。
なお、パナソニックの配線器具FAQには、15Aコンセントの回路を保護するブレーカの容量は20Aまたは15Aと法規で定まっている、という記載もあります。20Aと決まっているわけではありません。
まんぷく「20Aは『目安』であって、あなたの家の数字とは限らないんだ。分電盤の小さなスイッチに数字が書いてあるから、そこを見るのが早いよ」
レンジと足すとどうなるか
数字を並べます。パナソニックのオーブンレンジNE-UBS5Aの定格消費電力は、レンジ使用時で1.42kW(1420W)です。
| 組み合わせ | 合計 | 2000Wの目安に対して |
|---|---|---|
| 東芝 RC-10ZWA(1450W)+レンジ(1420W) | 2870W | 超える |
| 日立 RZ-W100JM(1400W)+レンジ(1420W) | 2820W | 超える |
| タイガー JPV-Y100(1100W)+レンジ(1420W) | 2520W | 超える |
| 象印 NL-DB10(660W)+レンジ(1420W) | 2080W | 超える |
| 象印 NL-BX05(495W)+レンジ(1420W) | 1915W | 収まる |
IH機とレンジの組み合わせは、どれも2000Wを大きく超えました。マイコンの5.5合機でも超えます。目安に収まったのは3合のマイコン機だけでした。
ただし、これは同じ回路につながっている場合の話です。炊飯器とレンジが同じ分岐回路にあるかどうかは、家ごとに違います。同じキッチンでも別回路のことがあり、逆に隣の部屋のコンセントと同じ回路のこともあります。どの回路にどのコンセントが割り当てられているかは、分電盤の表示か住宅の図面を見るしかなく、メーカーや電力会社の公式情報からは判定できません。ここは分からない、と書いておきます。
電子レンジ側については、パナソニックのレンジのFAQに、消費電力が大きいため他の機器と同時使用するとブレーカーが落ちやすくなる、という記述があります。電源は定格15A以上・交流100Vのコンセントを単独で使う、という案内もあります。
炊飯器側で同じ強さの案内をしているメーカーは、今回調べた範囲では見つかりませんでした。ただし象印のFAQには関連する注意があります。IH炊飯ジャーは保温時でもタイミングによってはIHのヒーターが入り、定格の消費電力がかかることがあるため、保温を使用する場合でも定格電力以上のブレーカーを使ってほしい、という内容です。「保温中だから電気を食っていない」とは考えないほうがいい、ということになります。
早炊き・エコ炊飯とWの関係
早炊きにすればWが下がるのか。ここは、公式に書かれていることが限られていました。
パナソニックのFAQによると、「高速」「早炊き」コースは炊飯の工程で時間を短縮するために火力がやや強くなっており、お米の種類によっては硬めの炊き上がりになることがある、とされています。炊飯時間は銀シャリ/ふつう/ビストロ炊飯コースが約48〜56分、高速/早炊きコースが約20〜38分。電気代については、炊飯時間が短いので若干安くなる、と書かれています。
エコ炊飯コースについては、炊飯時間と消費電力量に配慮しながら炊飯するコースで、火力を抑えて炊くのでややかために炊き上がる、という説明です。
タイガーの解説記事では、早炊きモードと普通炊きモードの電気代に大きな差はないとしたうえで、短時間で炊くために急激に温度を上げる機種もあり、普通炊きモードより電気代が高くつく場合もある、と書かれています。
整理すると、こうです。
- 早炊きは火力を強める側(パナソニック)、エコ炊飯は火力を抑える側(パナソニック)
- 電気代(Wh)の差については、パナソニックは早炊きが若干安い、タイガーは大差なしまたは高くなる場合もある、と評価が分かれている
- コースごとのW値を公表しているメーカーは、今回調べた範囲では見つからなかった
仕様表に載っているWは1つだけで、それがどのコースの値なのかも明記されていません。「エコ炊飯にすればWが下がる」と読める公式の記載は見つけられませんでした。ブレーカー対策としてコースを変えることを、公式情報を根拠におすすめすることはできません。
結論
今回の15機種の範囲では、こうまとめられます。
1. 5.5合のIH炊飯器は1100〜1450W。単体で分岐回路の目安2000Wの半分以上を使う
2. 電子レンジ(1420W)と同じ回路なら、IH機との組み合わせは目安を超える
3. マイコン機は495〜900Wと低いが、レンジと足せば5.5合機は超える
4. 早炊き・エコ炊飯でWがどう変わるかは、公式には書かれていない
対策として公式情報から言えるのは、消費電力の大きい機器を同じ回路に集めないこと、そして自分の家の分電盤で回路の割り振りとアンペア数を確認することです。パナソニックのページにも、各コンセントの回路と各家電製品の消費電力を確認し、容量以上の電気が流れないよう気をつけるように、と書かれています。
炊飯器を選ぶときにWを見る意味があるのは、キッチンで大電力の家電を並べて使う人です。逆に、炊飯器とレンジの使用時間がずれている家では、Wの大小はほとんど関係しません。
この記事が向かないのは、自分の家でブレーカーが落ちるかどうかの答えを知りたい人です。回路の割り振りも契約アンペアも家庭ごとに違い、メーカーや電力会社が公開している一般的な説明からは判定できませんでした。分電盤の表示を見るか、電気工事の資格を持つ人に見てもらってください。
→ 炊飯器の電気代は1回いくら?5.5合10機種の公式値は4.3〜5.8円
この記事のWの値はメーカー公表の仕様値です。実際に流れる電流は炊飯の工程・室温・電源電圧で変わります。ブレーカーの容量や回路の割り振りはご家庭ごとに違います。
調査・編集:炊飯図鑑編集部。まんぷくは記事の案内役のキャラクターです(実在の人物ではありません)。
この記事の調べ方と、分からないこと
炊飯器のWの値は2026年8月3日に、象印・タイガー・パナソニック・日立・東芝・三菱電機の公式仕様ページから集めました。大手6社15機種です。実機を測ったものではありません。
項目名は各社で異なります。象印は「炊飯時消費電力(W)」、日立は「消費電力:炊飯(W)」、パナソニックとタイガーは「定格消費電力」、東芝は「消費電力(W)」、三菱電機は「最大消費電力(W)」でした。東芝の仕様表には炊飯時・保温時などの区別がなく、値は1つだけです。同じ意味の数値として横並びにしていますが、測定条件が完全に揃っているかまでは確認できていません。ここは注意点として残します。
比較に使った電子レンジの1420Wは、パナソニックのオーブンレンジNE-UBS5Aの定格消費電力(レンジ使用時1.42kW)です。1機種だけの値なので、他機種では変わります。
分岐回路の説明は、パナソニックの「知っておきたい電気の基礎知識」「電気設備の基礎知識(過電流)」「配線器具FAQ」、および東京電力パワーグリッドの解説記事によりました。20A・2000Wは各社が「一般的には」「目安」として示している数字で、法令で全戸が20Aと決まっているわけではありません。パナソニックの配線器具FAQには、15Aコンセントの回路を保護するブレーカの容量は20Aまたは15Aと法規で定まっている、と書かれています。
分からなかったことを挙げます。まず、炊飯器とレンジが同じ分岐回路にあるかどうかは、家ごとの配線で決まるため公式情報からは判定できません。次に、炊飯コースごとのW値を公表しているメーカーは見つかりませんでした。エコ炊飯・早炊きについて公式に書かれているのは火力の強弱と電気代(Wh)の傾向までで、Wが何ワット変わるかは分かりません。また、炊飯の全工程で最大Wが流れ続けるのか、ピークだけなのかも、各社の仕様表からは読み取れませんでした。実際の突入電流や瞬間値は測定していません。アイリスオーヤマなど一部メーカーは公式ページを機械で読み取れず、今回は入っていません。